東北大学 研究シーズ集

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液体ロケットエンジン・ターボポンプに発生するキャビテーションの諸問題

更新:2019-02-19
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 「キャビテーション現象」は、高速流体機械などの低圧部において液相が気相へと相転移する現象であり、その非定常性や壊食性が流体機械の振動・騒音、性能低下や損傷などの原因となることで知られている。
 国産液体ロケットであるH-IIA、IIBに搭載されている液体酸素・液体水素ターボポンプは、高馬力かつ小型軽量化がなされており、その入口部のインデューサと呼ばれる軸流ポンプではキャビテーションは不可避的に発生する。インデューサに発生するキャビテーションは、推進剤の脈動や回転非同期の軸振動の原因となる「キャビテーション不安定現象」を引き起こす場合があり、問題となる。
 これまで、独自に開発した気液二相媒体モデルを用いた数値解析手法により、単独翼に発生する非定常キャビテーション特性、翼列に発生するキャビテーションの破断特性、三枚周期翼列に発生するキャビテーション不安定現象の解明、インデューサに発生する翼端渦キャビテーション、スリット翼列によるキャビテーション不安定現象の抑制、などに関して数値的研究を行っている。また、液体ロケットの推進剤である液体酸素および水素では「熱力学的効果」が発生する。熱力学的効果とは、液相が気相へと相転移する際に奪われる気化熱により、液温が低下し、気化が起こりにくくなる効果である。これはキャビテーションの成長を抑制する方向に働く好ましい効果であると考えられているが、キャビテーション不安定現象に及ぼす影響については未解明の点も多い。よって現在、本解析手法を極低温流体へと拡張し、熱力学的効果がキャビテーション不安定現象に及ぼす影響の解明を行っている。
 今後、この極低温キャビテーションの数値解析手法を、LNG配管系で生じる気化現象の予測や高効率配管系の設計へと展開していきたいと考えている。その他、本研究は原子力発電プラント保全技術、海洋・沿岸安全技術、水質保全、医療分野への応用が可能である。
 この数値解析手法を産業界で活用したい企業や団体との共同研究を希望する。

研究者

流体科学研究所

伊賀 由佳 教授 
工学博士

IGA, Yuka, Professor

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