ナトリウムを用いて低温で熱電変換シリサイドバルク体を作製する


更新:2020/06/16
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特徴・独自性
  • β-FeSi2 、 MnSi1.7+ δなどのSi 組成に富む金属シリサイドは、耐酸化・耐熱性に優れた熱電変換材料が多い。これら金属シリサイドの合成には、原料金属とSiを融解して反応させるアーク溶解法や、ホットプレス法などの高温や高圧を必要とする合成法が使用されてきた。本研究では、金属の圧粉成型体をNaとともに加熱することで、β -FeSi2 やMnSi1.7+ δの熱電変換シリサイドのバルク体を、一度の加熱プロセスで合成することに成功した。具体的にはAr雰囲気を満たした容器内で、FeまたはMn の圧粉成型体をSi 粉末と少量のNaとともに800 ? 900℃で12 ? 24 h 加熱することで、β -FeSi2 やMnSi1.7+ δのバルク体を得ることができる。 Naは大気中でアルコールと反応させることで、アルコキシドとして安全に生成物から除去することができる。また原理的には、Na の高い蒸気圧を利用して加熱して蒸発除去を行い、そのNaを回収して再利用することも可能である。この技術を産業界で活用したい企業や団体との共同研究を希望する。
キーワード

研究者

多元物質科学研究所
無機材料研究部門
無機固体材料合成研究分野

山根 久典 教授 
理学博士(大阪大学)

Hisanori Yamane, Professor