「精巧な人体模型バイオニックヒューマノイド」開発で、医療ミスの少ない社会に

Blue Practice株式会社

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センサーを内蔵した医療用の精巧な人体模型「バイオニックヒューマノイド」の開発が今、世界的な注目を集めている。その模型のうち血管の部分を本物に近い形で再現できる技術を持つのが、東北大学での研究を事業化したBlue Practice社だ。精巧な血管モデルを作ることで医師の手術トレーニングや新たな治療法の試行を可能にし、医療ミスの少ない、より安全で正確な医療の実現を目指している。

本物そっくりの血管モデルで、医師の手術スキル向上を

同社が開発しているのは、センサーが組み込まれた精巧な血管モデル。同社取締役で東北大学流体科学研究所の太田信教授の研究を基に、合成樹脂を用いた特殊な製法で作られた血管モデルは、人の血管の厚さや硬さ、滑りの度合いを本物に近い形で再現している。

▲同社が開発した、腹部大動脈とそこから枝分かれする血管のモデル。センサーを組み込むことで、背景のディスプレイにデータが表示される(※プロトタイプ)

「血管内治療はカテーテル(血管に入れる医療用の管)を使いますが、その際に血管を突き抜けてしまう穿通事故が過去、少なくない数で発生しています。手術のミスを防ぐには医師の技術を上げる必要がありますが、これまでは手術の訓練をするには動物を使うしかなかった。その倫理面の問題を解決できる上、医師が、より効率的に、効果的に訓練ができるのがこの血管モデルなんです」と、鈴木宏治代表はその意義を強調する。

▲鈴木宏治代表

血管モデルにはセンサーが内蔵され、血管内部の圧力や、血管の壁への負荷や形の変化をミクロン単位で検知し、データで数値的に可視化することができる。同社取締役で東北大学医工学研究科の芳賀洋一教授は「これまで医師がカテーテルの入れ方を覚えるには見て覚えるしかなく、個人の技術にばらつきがあった。この血管モデルで手術の訓練をして、同時に血管内の状態を数値化することで、どの位置でカテーテルが引っかかったのか、どうすればよりうまく挿入できるのか、といった改善点を客観的に把握できる。それは医師のトレーニングのモチベーション、ベテラン医者の更なるスキルアップにもつながります」と、医師としての経験と実感を込めて語る。

東北大の共同研究が、IT分野の経営者を迎える形で事業化

同社の技術開発のきっかけとなったのは、内閣府の革新的研究開発推進プログラム(imPACT)「バイオニックヒューマノイドが拓く新産業革命」での太田教授と芳賀教授の共同研究だ。東北大学の産学連携部門からの後押しを得て、研究成果の中から「血管モデル」の事業化への可能性を探った二人は、経営経験の豊富な鈴木代表を外部から経営者に迎える形で2019年にBlue Practice社を立ち上げた。

長年外資系IT企業でキャリアを積み、ビジネススクールで医療ビジネスを学んだ経験もある鈴木代表。2018年に初めて二人と会って研究を知ったとき、「素材のすばらしさも感じたし、センサーでデータを集めるというITとの接点もあり、取り組みやすいと思った。医療とITが融合して創造的なコラボレーションが生まれるのではないかと思った」と、参画を決めた思いを振り返る。

鈴木代表が経営に専念し、芳賀教授や太田教授が研究開発に集中する。大学発ベンチャーならではのこの体制が同社の特徴であり強みでもあると、太田教授は話す。「研究者には時間がなく、事業までやろうとすると自分の研究で『次の球』が出せなくなってしまい、パンクしてしまう。経営者と研究者の役割は違うと感じますし、だからこそ人を集めることが大事なのだと感じます」

「データ」で、より安全な医療現場をつくる

2019年の会社設立以来、病院や医療機器メーカー、評価機関から個別に依頼を受ける形で血管モデルの製作・販売をしてきた同社。鈴木代表は今後のビジネス展開について、「まずは本物を精巧に再現した血管モデルとして販売し、次にセンサー付きの血管モデルを展開する。そして医師が血管モデルを用いて行ったトレーニングデータが蓄積されてきたところで、そのデータに付加価値を与えて、トレーニングや性能評価の目標値に利用できるようにしたい。それを医療機関や機器メーカーなどにデータベースアプリケーションとして販売する展開を考えています。」と話す。

芳賀教授はこの血管モデルやバイオニックヒューマノイドの普及をより安全な医療現場を実現するための一つの契機としても捉えている。「ゆくゆくはトレーニングの場だけではなく、医師や医療デバイスなどの特定の場所にセンサーを付けることで、実際の臨床の現場でも医療ミスを防ぎ、安全性を高めるシステムを作ることができるのではないかと思っています。血管モデルから集めたデータや結果を、こうした研究にも生かしていきたいですね」

▲左から芳賀洋一教授、鈴木宏治代表、太田信教授

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