イネを用いた有用タンパク質の超低コスト生産
更新:2024/11/25
- 概要
多剤耐性菌の蔓延が公衆衛生上の脅威となっている。国内の抗生物質の半量は家畜に使用されており、畜産業での抗生物質の使用量の削減が急務となっている。私たちは、耐性菌が出にくい抗菌タンパク質、抗菌ペプチドを畜産業でも利用可能な価格で生産する手法の開発を行っている。特に、イネを用いて植物工場の電気コストを大幅に削減できる暗所での生産と精製コストを削減できる振盪培養細胞を用いた生産を目指している。
- 従来技術との比較
有用タンパク質は動物細胞や微生物を用いて生産されているが、生産コストが高いことが問題となっている。私たちは、食経験から安全性が担保されているイネを用いて、有用タンパク質を超低コストで生産する手法の開発を行っている。
- 特徴・独自性
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- 暗所でイネの種子を発芽、生育させることにより植物工場の電気コストを大幅に削減することができる。
- 光合成タンパク質が抑制されるため、目的タンパク質の生産量が増加する。
- 融合タンパク質として生産し、タンパク質抽出後に自動的に融合部位を切断することにより、イネの生育に負の影響を与えるペプチドも生産可能となる。
- 全てのタンパク質生産に応用可能である。
- 実用化イメージ
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有用タンパク質遺伝子を持つイネの種子を照明施設なしの植物工場(もやし工場)で発芽、生育させ、芽生え(イネもやし)からタンパク質を抽出、精製する。振盪培養細胞から細胞外に分泌し、培養上清を用いる。
- キーワード
研究者
大学院農学研究科
生物生産科学専攻
植物生命科学講座(環境適応植物工学分野)
伊藤 幸博 准教授
修士(農学)(東北大学)/博士(農学)(東北大学)
Yukihiro Ito, Associate Professor