筋萎縮性側索硬化症(ALS)に対する肝細胞増殖因子(HGF)を用いた治療法の開発
更新:2024/12/29
- 概要
難治性神経変性疾患の代表で、治療法開発が希求されているALSに対して世界初の組換えHGF蛋白質の脊髄腔内投与による第I相試験を東北大学病院で実施。これをふまえ、2016~2022年ALSに対する有効性と安全性を確認する第II相試験(医師主導治験)を同院と大阪大学附属病院にて実施、終了した。主要評価項目に関して統計学的有意差はなかったが現在、終了後の追加解析を実施中。また、同一製剤を用いた脊髄損傷に対する臨床開発も進行中。
- 従来技術との比較
世界初の組換えHGF蛋白質の脊髄腔内投与製剤、中枢神経系に効率的かつ選択的に送達可能な「脊髄腔内」反復投与を実現する医療機器(皮下ポートと脊髄腔内留置カテーテルキット)と同時開発
- 特徴・独自性
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- ALSは難治性神経変性疾患の代表
- 脳・脳幹・脊髄運動ニューロンの系統的変性による全身の進行性筋萎縮と筋力低下が主徴
- 呼吸筋障害による致死的疾患でありながら3~4剤の進行抑制薬承認にとどまる現状
- 東北大学神経内科で世界初のラットALSモデルを開発(Nagai M, et al. 2001)
- HGF 蛋白質の脊髄腔内持続投与による進行抑制効果を同モデルで確認
- 第I相・第II相試験(治験)を終了し、追加解析による有効性検証中
- 実用化イメージ
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クリングルファーマ㈱、慶應義塾大学(岡野栄之教授、中村雅也教授)、旭川医科大学(船越洋教授)と協働し本剤を医薬品化。ALS第I相・第II相試験、脊髄損傷の第III相試験をほぼ終了。製薬企業と連携予定。
- キーワード
研究者
大学院医学系研究科
医科学専攻
神経・感覚器病態学講座(神経内科学分野)
青木 正志 教授
博士(医学)(東北大学)
Masashi Aoki, Professor
臨床神経学(とくに神経変性疾患および骨格筋疾患)と臨床遺伝学を専門とし、難治性神経筋疾患の創薬・橋渡し研究に取り組んでいます。