省エネルギー動作可能な相変化型メモリ材料の創成
更新:2024/12/02
- 概要
相変化に伴い大きく物性(電気抵抗や光学特性)が変化する材料を「相変化材料」と呼びます。その物性変化を利用して、次世代の不揮発性メモリや変位センシングが可能となります。本研究では、省エネルギーで動作する次世代型の相変化材料の創成を目指しています。
- 従来技術との比較
一般的な相変化材料は、アモルファス相と結晶相の相変化を利用します。しかし、アモルファス化のためには材料を融解する必要があり、必然的に動作エネルギーが大きくなってしまう欠点があります。本研究では、新しいカルコゲナイド系相変化材料を創出し、省エネルギー動作を可能とし、かつ、高い耐熱性や高速動作を可能とする次世代型の相変化材料の開発を行ってます。
- 特徴・独自性
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- 従来、アモルファス相と結晶相間の相変化を利用する相変化材料では、結晶相の方がアモルファス相よりも抵抗が低い特徴と持ちます。電気的な不揮発性メモリでは、ジュール加熱により相変化材料の相変化を生じさせますが、結晶の抵抗が低いため、アモルファス化(融解する)するために大電流が必要であり、動作エネルギーが高くなってしまいます。私たちの開発する材料は、逆の抵抗変化を示す(結晶の方が抵抗が高い)ため、アモルファス化に大電流を必要としないため省エネルギー動作を可能とします。
- また、アモルファス化を伴わない材料を見出しています。この場合、変位型の相変化で大きな物性変化を生じることが可能なため、省エネルギー動作のみならず高速動作や高い耐熱性が実現できます。更には、非カルコゲナイド材料でも、結晶/結晶相変化により大きな物性変化がえられることを見出しています。
- 加えて、ポリイミド基板上に成膜したこれら相変化材料は、大きな歪みゲージ率を示すため、超高感度なセンシング材料にも応用が可能です。
- 実用化イメージ
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不揮発性メモリやセンシング材料に適用が可能と考えています。
- キーワード