- 概要
超音波計測は物性評価・イメージング・センシングなど様々な科学技術で活躍している重要な手法です。私は光を用いて周波数GHz~THzオーダの超音波を励起検出する計測する手法を用いて大きさがナノ~マイクロオーダーの微細構造・薄膜の力学特性・音響特性の評価と非破壊検査を行っています。
- 従来技術との比較
従来の超音波は波長が数マイクロメートル以上だったためナノスケールでの計測は不可能 でした。そこで私はフェムト秒パルスレーザを用いて波長が10 nmオーダーの超音波を操る計測技術によって、ナノ材料の力学特性の評価やナノ領域での非破壊検査を実現しました。
- 特徴・独自性
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- 光と音(レーザと超音波)を駆使した独自の計測技術を開発
- ナノ材料・GHz 帯の振動現象を励起検出
- 温度 10 〜 600 K、最大 5 T の高磁場下で音速や弾性定数を正確に計測
- 磁気ダンピング定数や飽和磁化を時間領域における磁化振動から計測
- 金属、圧電体、磁性体などナノ薄膜やダイヤモンド、タングステンカーバイドなど超硬材料が主な対象
- スマホの無線通信用フィルタの特性解明と材料開発に貢献
- 光よりも波長が短い超音波によって高感度なバイオセンサの開発やナノワイヤの破断過程のモニタリングへ応用
- 実用化イメージ
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この計測手法はnmオーダの半導体中に発生する欠陥の検査や、5G通信デバイスで欠かせない音響弾性波フィルタの音速・減衰評価を可能にしました。
研究者
大学院工学研究科
長久保 白
Akira Nagakubo
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- 特徴・独自性
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- ナノインプリント技術は、パターンサイズとデバイス面積を広範囲にカバーでき、産業界に向いた量産性に優れるナノファブリケーション法として注目されています。当研究グループは、単分子膜工学を推進し、界面機能分子制御の学理の追求と実学応用を進めています。離型分子層、密着分子層、偏在分子層を設計した光硬化性樹脂を研究し、ナノインプリントリソグラフィによる半導体、金属、無機酸化物の超微細加工に挑戦しています。
- 実用化イメージ
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透明導電膜、光導波路、メタマテリアル等の先進光機能材料に関する研究成果を発表しました。材料、機械、マスク、デバイスメーカーと連携し、日本のものづくりの強化に貢献します。
研究者
多元物質科学研究所
中川 勝
Masaru Nakagawa
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- 概要
Histone deacetylase(HDAC)阻害剤及びphosphatidylinositol 3-kinase(PI3K)阻害剤は、有望ながん分子標的薬剤であるが、単剤使用での効果は限定的である。この2剤の併用は殺細胞効果の相乗作用をもたらす報告があることから、発明者らはHDAC/PI3K2重阻害剤の探索を行った。数百種類のPI3K阻害活性を有する化合物をスクリーニングしたところ、既にHDAC阻害剤として知られるロミデプシン(FK228)およびその類縁体にPI3K阻害活性があることを見出した。 類縁体FK-A11は、前立腺がん細胞(PC-3)やHDAC阻害剤に抵抗性を有する大腸がん細胞(RKO、CO115)に対して、SAHA(HDAC阻害剤)とLY294002(PI3K阻害剤)の併用よりも高い殺細胞効果を示した。なお、この濃度においては、非がん細胞であるKMST6細胞は顕著な細胞死を生じなかった。 また、脂質代謝に関わるLIPIN1遺伝子の抑制により、FK-A11の殺細胞効果、抗腫瘍効果が増強することがわかった。
- 従来技術との比較
- 特徴・独自性
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- 実用化イメージ
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- 特徴・独自性
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- 走査型プローブ顕微鏡はトンネル顕微鏡に代表されるように、原子分解能が得られる数少ない顕微鏡である。低エネルギーのトンネル電子を用いることから生物試料などにもダメージを与えることが少なく、ナノテクノロジーの重要な評価技法と位置づけられている。研究は像の観察から単一原子・分子の化学分析へシフトしてきている。そのひとつの手法としてトンネル電子分光が挙げられるが、精度の高い測定には顕微鏡としての高い安定性が要求される。この研究部門では、先端的な原子レベルでのトンネル分光を主眼としたプローブ顕微鏡の開発を主眼とする。そこでは分子振動測定や、孤立分子のLarmor歳差運動を捉える単一スピン検出方法などをターゲットとし、それに最適な装置を開発する。
- 主な研究内容
- 1. ソフトマテリアル、生物分子などの分子レベルでの構造測定
- 2. STM 顕微鏡をもちいた分子振動測定による化学種同定
- 3. トンネル電子を利用した単一スピンの検出・制御
- 4. 新しいプローブ分光法に寄与する高精度プローブ顕微鏡の開発この技術を産業界で活用したい企業や団体との共同研究を希望する。
- 実用化イメージ
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研究者
多元物質科学研究所
米田 忠弘
Tadahiro Komeda
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- 特徴・独自性
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- ナノ構造と光の相互作用から生じる新規光学現象を利用した超小型・高機能光デバイスの研究を行っています。また、ナノ光学素子を実用化する上で顕在している問題を克服する新たな製作技術の開発も行っています。
- 《主な研究テーマ》
- ■ 可動メタマテリアルによる光の動的制御
- ■ 微細周期構造を利用したカラーフィルタ
- ■ 表面原子自己拡散を利用した超平坦化技術
- ■ 超低損失シリコンナノフォトニクスの基礎研究
- 実用化イメージ
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革新的光制御・センサデバイスの実現と社会実装を目指しています。「ナノフォトニクス、メタマテリアル、生物模倣光学」と「微細加工、光MEMS」の融合による光操作の未来技術と応用展開について研究しています。
研究者
大学院工学研究科
金森 義明
Yoshiaki Kanamori
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- 特徴・独自性
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- 透過型電子顕微鏡(TEM)で、組成・結晶構造を評価した領域の精密構造解析、物性測定を可能とするため、独自の実験装置・解析技術開発(分光型収束電子回折TEM、高分解能EELSTEM、軟X線発光分光TEM)と、その物性物理学への基礎的応用(フラレン、ナノチューブ、ボロン化合物、GMR物質、準結晶等)を行っている。また、東北大オリジナルの軟X線発光分光装置の実用化を目指し、企業等との共同研究開発を継続中。
- 実用化イメージ
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半導体、誘電体、金属などの顕微解析による構造・物性評価に関する共同研究や、分析技術に関する学術指導が想定される。
研究者
多元物質科学研究所
寺内 正己
Masami Terauchi
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- 概要
安全性を確保しつつ、自動車の燃費改善または構造物の小型化を実現するため、最も多く使われている鉄鋼材料の高強度化が求められる。これまで合金組成や熱処理プロセス条件を変えることで材料全体の平均的な組織制御が行われてきたが、ナノスケールの組織制御が未成熟である。本研究では、これまでの実験調査で困難であったナノスケールの構造・組成不均一性の生成挙動を調査し、高強度鋼組織制御の指針構築に取り組んだ。
- 従来技術との比較
従来では鉄鋼材料の組織制御は経験的な条件に基づくことが多いが、本研究では熱力学・速度論・結晶学などの知識に基づき鉄鋼材料におけるナノスケールの組成・構造不均一性の挙動を解明した。
- 特徴・独自性
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- 様々な先端技術を組み合わせた多面的解析手法で実験調査を行い、ナノスケールの構造・組成不均一性の生成挙動を調査した。
- 実験結果をもとに、熱力学・速度論・結晶学などの観点で解析を行うことにより、その不均一性におよぼす諸因子の影響を解明した。
- 実験解析に留まらず、熱力学データを活用してその挙動の再現、さらに予測ができるような理論計算も同時に実施した。
- 実用化イメージ
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鉄鋼材料の高強度化に基づき、自動車をはじめとした輸送機器の軽量化または構造物の小型化が可能となり、素材製造や輸送分野のCO2削減の観点でカーボンニュートラルの実現への貢献が期待される。
研究者
金属材料研究所
張 咏杰
Yongjie Zhang
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- 概要
結晶を原子層レベルまで薄くすると表面近傍に新奇な電子状態が発現し、量子的な効果が顕著に現れ、結晶単体では見られない高移動度電子やスピン偏極電子、金属絶縁体転移の発現など新奇な物性を示すことが多くあります。こうした特異物性を極薄膜や表面で実現し、制御・解明する研究を行っています。高輝度かつ高エネルギー分解能の放射光を駆使することで、新奇な物理現象を正確に捉えることが可能です。
- 従来技術との比較
放射光源を利用した表面解析の手法は、実験室光源と比較してより多くの情報を得る・より微細な試料の測定を行うことが可能です。
- 特徴・独自性
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- 世界最高性能を有するNanoTerasuとこれまで開発してきたin-situ ARPESマイクロ多端子電子輸送測定システムや計算科学を融合し、電子の運動を正確に記述し新たなナノ材料探索を実施
- Nanoterasuを用いたin-situ ARPES手法(角度分解光電子分光(Angle-Resolved Photoemission Spectroscopy : ARPES))による、成膜環境下で物質の表面状態の詳細な解析が可能
- 放射光施設での測定に資する原子層レベルの極薄膜試料の作成が可能
- 実用化イメージ
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放射光を用い新奇低次元物性の解明や光電子分光・多端子計測を合わせた革新的電子輸送現象解明手法開発による機能性表面・極薄膜探索を行っています。電子挙動の理解は革新的な半導体や加工技術の進歩に繋がります。
研究者
国際放射光イノベーション・スマート研究センター
湯川 龍
Ryu Yukawa
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- 概要
ナノバブル技術には従来の洗浄と異なる革新的な機能が期待できる。純水に微量の無機イオンを加えることで、長期間安定したナノバブルの製造に成功した。ナノセルとも呼ぶことができる10nmレベルの微粒子であり、界面活性剤などが必要なく安定的に分散している。表面に数nm以下の凹凸構造があり、ナノ特有の機能が期待できる。安全性に優れており、医療やバイオ、農業分野など広範な技術領域で応用できる可能性がある。
- 従来技術との比較
従来のファインバブルはシャワー洗浄等で注目されているが、具体的機能は未だ不明。東北大学は10nmレベルのナノバブルの製造と測定に成功。単なる洗浄効果を凌駕し、生体や植物に対する広範な機能を有する。
- 特徴・独自性
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- 10nmレベルのナノ粒子(量子ドット)的な存在である
- 分散剤を必要とせずに長期に安定している(凝集しない)
- 生体や植物に対して安全でありながら特異な機能を発揮する
- 実用化イメージ
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未知な領域で新たな機能を発揮させて欲しい。医療・バイオ分野等、素材として取り扱う企業との共同研究を希望。水としての利用が可能であり、他の薬剤との相乗効果を希望する場合、本技術が有効と思われる。
研究者
未来科学技術共同研究センター
高橋 正好
Takahashi Masayoshi
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- 特徴・独自性
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- ナノ・マイクロ粒子超音速流動加工は、微粒子を非熱の高速ジェット中に注入し、粒子を基板に高速衝突させることにより基板上に皮膜を形成する省エネルギー型成膜法である。本研究では、微粒子動態を考慮した超音速流動モデルおよび皮膜形成モデルを統合した新たなモデルを提案した。また、最先端歯科医療等への本成膜法の革新的応用を想定し、実機を対象として実時間数値計算と実験の統合解析を行い、本プロセスの高性能化を行った。さらに、静電気力を用いた帯電ナノ粒子の加速制御により、微小空間において衝撃波や複雑干渉を伴う極限環境下でのナノ粒子高速輸送を可能にし、成膜効率が向上することを数値計算により示した。
- なお、本研究は、2008 年度日本機械学会奨励賞( 研究) を受賞した。本技術を産業界で活用したい企業や団体との共同研究を希望する。
- 実用化イメージ
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研究者
流体科学研究所
高奈 秀匡
Hidemasa Takana
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- 概要
モールドエッジにバリが発生せず、均一な残膜が得られる光ナノインプリント方法 https://www.t-technoarch.co.jp/data/anken/T19-159.pdf
- 従来技術との比較
スピン塗布膜への光型成形では、モールド(型)の側壁の汚染が繰り返し利用を妨げます。所定量の液量を印刷液滴の配置数で規定できるので、モールド外周部への光硬化性液体の回り込みを防ぐことができます。
- 特徴・独自性
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- サブピコリットルの定形液滴を印刷配置できる孔版印刷です
- 孔版印刷の版はレーザー加工で作製するため従来のような印刷欠陥がありません
- 膜厚10nmから光硬化膜を所定位置に形成できます
- 印刷配置を制御できるので、型表面にあるパターン密度の粗密に対応することができます
- 実用化イメージ
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ナノ構造オプティクス、平面レンズ、細胞培養シート、など表面への樹脂ナノパターンの付与、樹脂マスクを利用したリソグラフィ加工に用いることができます
研究者
多元物質科学研究所
中川 勝
Masaru Nakagawa
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- 特徴・独自性
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- 高真空中での分子ビーム技術を用いて、今までにない気相小集団化学種(クラスター・ナノ粒子) の質量分析、イオン移動度分析、レーザー光誘起反応、二分子衝突反応の研究を、自作の真空装置を開発して行っている。
- 実用化イメージ
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気相の微粒子の同定や構造決定が必要な材料・環境分野、質量分析やイオンモビリティが重要なプロテオミクスが関係するバイオ関連・製薬業界など
研究者
大学院理学研究科
美齊津 文典
Fuminori Misaizu
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- 特徴・独自性
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- PET、PVC、HIPS 等の廃プラスチックを、付加価値の高い化学物質への転換を目的に、乾式及び湿式プロセスで種々の高分子廃棄物リサイクルの研究をしている。例えば、PETの脱カルボキシル化にて、高収率でベンゼンを得ることに成功。また、難熱性プラスチックやPVC の脱ハロゲン化プロセスを開発し、炭化水素として燃料利用等を検討している。さらに、抗菌性やイオン交換特性を付与することを目的に、PVC の塩素の一部を官能基で化学修飾する研究をしている。また、HIPSの熱分解による脱ハロゲン化で、高収率でスチレンを得ることができる。これらの技術を用いて、金属・プラスチック複合物から金属とプラスチックを効果的にリサイクルする化学プロセスを構築している。
- 実用化イメージ
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廃棄物のリサイクルプロセスの開発に付随して起こる諸問題を解決するための方法を提供することができる。
研究者
大学院環境科学研究科
吉岡 敏明
Toshiaki Yoshioka
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- 特徴・独自性
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- プロドラッグ分子のみで構成されるナノ粒子『ナノ・プロドラッグ』を提唱し、疾患部位への高効率なドラッグデリバリーが可能な抗がん剤や点眼薬の開発を行っています。『ナノ・プロドラッグ』は、難水溶性にする薬剤設計指針に基づき化合物合成したプロドラッグ分子を、独自の有機ナノ粒子作製手法である『再沈法』に共することで、粒径100 nm以下で制御できます。現在、薬理効果の評価、生体内・細胞内動態に取り組んでいます。
- 実用化イメージ
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『再沈法』は薬剤化合物に限らず、様々な有機分子をナノ粒子化する汎用性の高い手法です。有機ナノ粒子を作製制御し評価する技術を持っており、有機ナノ粒子の物性評価に関する共同研究を希望します。
研究者
多元物質科学研究所
笠井 均
Hitoshi Kasai
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