- 特徴・独自性
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- リチウムイオン内包フラーレン(Li+@C60)を用いた二次電池を開発しています。その中でもLi+@C60をカチオンとしたイオン液体を電気二重層キャパシタ(EDLC)の電解質として用いた[Li+@C60]・EDLC は、広い温度域で高い運動性を示す球形のC60殻内に安定に閉じ込めたLi+を用いるため、イオン液体中でも高密度で高速蓄電が可能で、高い安全性が確認されています。
- 実用化イメージ
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宇宙などの極限環境下で使用可能な二次電池としての応用が期待されます。さらに、Li+@C60を用いた全固体型二次電池への展開も可能で、飛躍的な蓄電密度の向上が達成できます。
研究者
大学院理学研究科
權 垠相
Eunsang Kwon
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- 特徴・独自性
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- オーステナイト系ステンレス鋼やニッケル合金は粒界劣化現象が永年の大きな問題である。当グループの開発した粒界工学制御プロセスは、通常ステンレス鋼の粒界腐食(図1、2)、溶接部腐食、応力腐食割れ、液体金属脆化、放射線損傷などに対する抵抗性を著しく向上させるとともに、高温クリープ破断寿命を顕著に延長(図3)させるなど、粒界劣化現象抑制による著しい特性改善を実現した。
- 実用化イメージ
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この粒界工学制御技術により、金属材料の耐食性や高温寿命の向上が期待できることから、電力・化学プラント配管、高温高圧容器、食品加工機器などの製造業への適用が想定される。
研究者
大学院工学研究科
佐藤 裕
Yutaka Sato
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- 特徴・独自性
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- 「キャビテーション現象」は、高速流体機械などの低圧部において液相が気相へと相転移する現象であり、その非定常性や壊食性が流体機械の振動・騒音、性能低下や損傷などの原因となることで知られている。
- 国産液体ロケットであるH − IIA、IIB に搭載されている液体酸素・液体水素ターボポンプは、高馬力かつ小型軽量化がなされており、その入口部のインデューサと呼ばれる軸流ポンプではキャビテーションは不可避的に発生する。インデューサに発生するキャビテーションは、推進剤の脈動や回転非同期の軸振動の原因となる「キャビテーション不安定現象」を引き起こす場合があり、問題となる。
- これまで、独自に開発した気液二相媒体モデルを用いた数値解析手法により、単独翼に発生する非定常キャビテーション特性、翼列に発生するキャビテーションの破断特性、三枚周期翼列に発生するキャビテーション不安定現象の解明、インデューサに発生する翼端渦キャビテーション、スリット翼列によるキャビテーション不安定現象の抑制、などに関して数値的研究を行っている。また、液体ロケットの推進剤である液体酸素および水素では「熱力学的効果」が発生する。熱力学的効果とは、液相が気相へと相転移する際に奪われる気化熱により、液温が低下し、気化が起こりにくくなる効果である。これはキャビテーションの成長を抑制する方向に働く好ましい効果であると考えられているが、キャビテーション不安定現象に及ぼす影響については未解明の点も多い。よって現在、本解析手法を極低温流体へと拡張し、熱力学的効果がキャビテーション不安定現象に及ぼす影響の解明を行っている。
- 今後、この極低温キャビテーションの数値解析手法を、LNG配管系で生じる気化現象の予測や高効率配管系の設計へと展開していきたいと考えている。その他、本研究は原子力発電プラント保全技術、海洋・沿岸安全技術、水質保全、医療分野への応用が可能である。
- この数値解析手法を産業界で活用したい企業や団体との共同研究を希望する。
- 実用化イメージ
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- 概要
流動キャビテーションを利用した表面改質方法 https://www.t-technoarch.co.jp/data/anken_h/T04-206_T05-248.html
- 従来技術との比較
- 特徴・独自性
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- キャビテーションとは、液体の速度の増大に伴い、圧力が低下し、液体の飽和蒸気圧まで圧力が減少した結果、液体が気泡になる現象で、特に微細気泡からなる郡列キャビテーションは大衝撃力を生じる。この現象を応用したキャビテーション・ショットレス・ピーニングは鋼球を用いる方法(ショット・ピーニング)と比較し加工面がスムースでかつ高い疲労強度が達成できる。水槽を用いず、低速水噴流中に高速水噴流を噴射することにより、大気中での施工も可能である。
- 実用化イメージ
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・疲労強度を向上させる加工装置 ・圧縮残留応力を付与する加工装置 ・動植物育成促進装置
研究者
大学院工学研究科
祖山 均
Hitoshi Soyama
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- 概要
リンパ節転移リスク評価方法 https://www.t-technoarch.co.jp/data/anken/T13-196.pdf
- 従来技術との比較
がん細胞のリンパ節への転移の有無は、患者の生存率に大きく影響を与える。転移後の致死率が高いことから、早期にリンパ節転移リスクを評価できることが望ましい。しかし、従来の方法(超音波、CT、MRI、PETなど)では、最大短径10mm以下の微小転移巣を同定することは困難であり、早期にリンパ節転移リスクを評価することは困難であった。
- 特徴・独自性
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- リンパ節転移は多くのがんで見られるものの、現行のCT、MRI、PET、超音波などでは10mm 以下の小さな転移リンパ節の検出が困難です。私たちは、ヒトと同等の大きさのリンパ節を持つリンパ節転移モデルマウスを独自開発し、これを用いた研究で、小さなリンパ節転移の早期段階においてリンパ節内圧が増大することを発見しました。臨床試験でも、転移リンパ節の内圧が正常リンパ節より高いことが確認され、これにより転移の早期発見が可能となります。
- 実用化イメージ
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本技術の応用により、以下の実用化が期待されます。 1 .転移リンパ節の検出を可能にする圧力計測機器の開発 ・小さなリンパ節転移を高精度で検出 ・非侵襲的かつ迅速な診断ツールの提供 2 .転移リンパ節の早期診断および治療効果の評価システムの開発 ・早期転移を検出し、治療進行をリアルタイム評価 ・治療効果を迅速に判断し、最適な治療を提供 3 .リンパ行性薬剤送達のための新しい薬剤注入機器の開発 ・精密かつ効果的なリンパ節内注入を実現 ・がん治療における薬剤送達効率の向上 4 .新規画像解析機器の性能評価および改良 ・転移リンパ節を検出する新たな画像解析技術の開発 ・画像診断の精度向上と早期診断の確立
本技術は、圧力計測技術とリンパ節内圧の変化に基づく評価法を活用し、がん診断・治療に新たなアプローチを提供します。これにより、がんの早期発見と最適な治療選択が可能となり、診断・治療の革新に貢献します。
研究者
大学院医工学研究科
小玉 哲也
Tetsuya Kodama
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- 概要
転移リンパ節に対する全身化学療法の奏効率は低い。本発明はリンパ節に直接薬剤を投与する方法(リンパ行性薬物送達法)における溶媒特性、特に粘度の最適値を提示するものである。2024年、岩手医科大学附属病院 頭頸部腫瘍センターにおいて リンパ節転移に対する特定臨床研究(jRCTs021230040) が開始された。
- 従来技術との比較
転移リンパ節に対する全身化学療法では、転移リンパ節に対する薬物送達量が少ない。リンパ節内の腫瘍増殖にともなう内圧増加や腫瘍巣の形成にともなう微小血管の消失によるものである。本発明ではリンパ節に薬剤を直接投与するリンパ行性薬物送達法での溶媒の最適な粘度域を明らかにした。
- 特徴・独自性
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- リンパ節内薬剤投与法により、リンパ節転移治療に必要な抗がん剤の量は全身投与の1/1000 ~ 1/100と極めて少量で済みます。そのため、副作用はほぼ無視できるレベルです。また、抗がん剤をリンパ節内に直接投与することで抗腫瘍免疫が活性化することが確認されており、この効果は投与薬剤の溶媒粘度に依存します。溶媒粘度の調整により、薬剤の滞留時間や拡散特性が向上し、免疫チェックポイント阻害剤との併用による相乗効果が期待されます。さらに、超音波画像ガイド下での精確なリンパ節内投与が可能であり、溶媒粘度に関する技術は国際特許を取得済みです。
- 実用化イメージ
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本技術は、以下のような適応に向けた実用化が期待されます。 1 .頭頸部がん・乳がんの所属リンパ節治療および予防的治療 ・早期段階でのリンパ節転移制御・外科手術の補助療法 2 .高齢者や基礎疾患を持つ患者に対する低侵襲治療・体力的負担を抑えた安全な治療選択肢 ・既存治療との併用による治療成績向上 3 .免疫チェックポイント阻害剤との併用による抗腫瘍免疫の強化 ・免疫応答の増強による治療効果向上 ・低用量での有効性確保による副作用リスクの軽減 4 .ドラッグリポジショニングおよびジェネリック医薬品の開発 ・既存薬の新たな適応開発によるコスト削減 ・新たな治療オプションの提供 5 .新規リンパ行性薬剤投与システムの開発 ・効率的な薬剤送達技術の確立 ・患者負担を軽減する革新的デバイスの設計 本技術は、薬剤の溶媒粘度を調整することで、がん治療における新たな選択肢を提供し、より効果的かつ低侵襲な治療法の確立に貢献します。
研究者
大学院医工学研究科
小玉 哲也
Tetsuya Kodama
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