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研究者紹介

赤間 怜奈 助教

2022.03.31
東北大学 データ駆動科学・AI教育研究センター 助教 
赤間 怜奈(あかま れいな)先生
 
 赤間先生は、情報科学分野における自然言語処理、機械学習がご専門です。
自然言語処理の研究では、人間が日常的に使っていることば(自然言語)を
上手に扱うための計算機構の構築や、それを支える基礎技術の開発を進めて
おられます。今回は、赤間先生のご研究やご自身についてのインタビューを
させて頂きました。
 
― 自然言語処理とは、どんな技術なのですか?
 
自然言語処理は、実は非常に産業や社会生活に近い分野です。翻訳ツールや
文書作成ソフトの校正機能、チャットボットによるカスタマーサービスは皆
さんも利用されたことがあると思いますが、こうした技術は自然言語処理技
術の社会実装のひとつの成果と言えます。近年の自然言語処理研究の主流の
ひとつは深層学習に基づく強力なモデルを膨大な言語データで学習する方法
論で、これにより適切な翻訳文や文章、流暢な応答の生成技術が飛躍的に向
上しました。
 
― 赤間先生はどのようなご研究を行っていますか?
 
人間がことばを用いて日常的に最も頻繁におこなう行為のひとつである「対
話」に関する研究をしています。人間の対話は、実はとても多くの情報を処
理した上に成り立っています。「何を伝えるか」が適切なだけでは円滑な対
話は成り立たず、他にも、たとえば話し手との関係性や周囲の状況等に応じ
て「それをどのように表現すべきか」を適切に考慮する必要があります。後
者について、表現の差異によってもたらされるニュアンスの違いをコンピュ
ータが理解し自在に扱うことはまだまだ難しい状況です。これまでも学習・
生成機構の改善や訓練データの改良を通してこの課題に取り組んできました
が、今後も包括的な対話理解とそれに基づく処理技術の構築に向けて研究を
続けていきます。
 
― 先生のこれからの目標、実現したい事は?
 
深層学習モデルと大規模データに基づく文生成技術が少なくとも性能的には
大成功している自然言語処理において、私たち研究者がこれから取り組むべ
き事柄のひとつに、このようなモデルの内部挙動を解き明かし、これを人間
が解釈可能な形で説明することが挙げられると思います。システムにある入
力を与えると多くの場合は尤もらしい出力を得られますが、もし想定外の出
力が得られた場合に「なぜ」そのような結果になったのかがわからない状態
では、安心して技術を利用することは困難です。私自身も、学内外の多様な
研究者と協同しながら、社会で安心して使える自然言語処理技術、対話処理
技術の実現に力を入れていきたいと思っています。

そして、将来的には、人間に信頼され彼らの生活を賢く支援する心強いパー
トナー、そんな存在を実現することを夢見ています。自然言語処理分野には、
技術や学問の発展に向けて解くべき研究課題や、実社会に求められている実
用技術がまだまだたくさんあります。これからもますます多くの仲間が必要
となる分野ですので、若い方は勿論、たくさんの方に自然言語処理に興味を
持って頂き、このスピード感あふれる刺激的な世界に飛び込んできて頂けた
ら嬉しいです。
 
 ▼▼もっと知りたい方はこちら▼▼▼
➡赤間 怜奈 (Reina Akama) - マイポータル - researchmap
https://researchmap.jp/reinaakama?lang=ja
➡研究室WEBサイト
FaiLab – 東北大学大学院情報科学研究科システム情報科学専攻
人工知能基礎学講座 https://www.fai.cds.tohoku.ac.jp/
Tohoku NLP Lab  https://www.nlp.ecei.tohoku.ac.jp/
➡関連研究
情報処理学会 2020年度 研究会推薦博士論文
https://note.com/ipsj/n/n582f4612a445?magazine_key=m3f8315d42fa3
日本経済新聞「AIの知恵、新たなAIに 追加学習で手軽に専門性」
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO23918780W7A121C1TJM000/
 
以上
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