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研究者紹介

飯塚 淳 准教授

2022.05.09
東北大学 多元物質科学研究所金属資源プロセス研究センター 
金属資源循環システム研究分野 准教授 
飯塚 淳(いいづか あつし)先生
 
 飯塚先生は、持続可能な社会の実現に向けて、カーボンニュートラル技術とし
て期待が高まっている炭酸塩鉱物化によるカーボンリサイクル・固定化の研究
を進められています。今回は、飯塚先生のご研究やご自身についてお話を伺いました。

― 飯塚先生はどのようなご研究を行っていますか?
 
新規な二酸化炭素の炭酸塩鉱物化技術の開発を専門にしています。特に、二酸
化炭素を炭酸カルシウム等の炭酸塩とすることで固定する技術をテーマに、
多くの研究を行っています。
二酸化炭素が炭酸塩となる反応は、自然状態では数十年といった多くの時間が
必要となりますが、この遅い反応を効率的に加速し、高純度の炭酸カルシウム
をつくるために粒径や反応条件などを考慮した全体プロセスを構築するような
開発を進めています。
現在、コンクリート廃棄物やフライアッシュといった産業副産物・廃棄物を活
用して、効率的に反応させることで副産物・廃棄物処理を行いながら二酸化炭
素を固定することが可能となる研究を行っています。
 
― 先生が環境技術について研究を始められたきっかけを教えてください。
 
学生の頃から自然環境を守ることにつながる研究がしたいと思っていて、地球
温暖化対策に関心がありました。修士課程では二酸化炭素圧力をスイングさせ
ることでコンクリート廃棄物と反応させて高純度の炭酸カルシウムをつくると
いうテーマで研究を行っていました。当時とは異なり、カーボンリサイクルへ
の取組が不可欠な時代になってきました。また、炭酸塩鉱物化技術だけではなく、
効率的な水処理や排ガス処理技術なども広く研究していけたらと思っています。
 
― 今後、二酸化炭素を固定化する上で需要拡大に向けてどんなことが必要
  でしょうか。
 
炭酸塩鉱物化によってつくった炭酸カルシウムは、経済性や二酸化炭素排出量
削減の観点から必ずしも高品質にできません。需要者に付加価値を認めていた
だき、利活用していただくことが重要だと思っています。炭酸塩鉱物化には、
アルカリ性のカルシウムやマグネシウムを含有した原料(コンクリート廃棄物等)
が多量に必要となりますが、制度や法律等を整備し、うまくインセンティブを
与えることが重要と考えています。発展途上国では廃棄物処理のコストが低い
ことも多く、このような仕組みがより重要になると思います。
 
― 飯塚先生のこれからの目標、今後の研究におけるビジョンを教えてください。
 
二酸化炭素の固定化だけではなく、様々な資源の循環についても関心がありま
す。現在、二酸化炭素の循環を中心に研究していますが、二酸化炭素の排出量
を減らそうとすると他の資源が必要となりますし、他の資源についても同じよ
うにリサイクルのしくみを考えなければなりません。すなわち、効率の良い電
池をつくるには良い材料が必要になりますが、その後の処理をどうするのか
といったような効率的な循環の確立が必要になるので、リサイクルの研究は
都度実践していくしかないと感じています。
今後は、二酸化炭素の固定化に取り組んでいなかったような中小企業等に対し
ても、どうやって削減していけばよいのかといった相談にも応じていきたいと
思っています。

▼▼もっと知りたい方はこちら▼▼
→飯塚淳  (Atsushi Iizuka) - マイポータル - researchmap
 https://researchmap.jp/read0158412
→個人WEBサイト
 http://www2.tagen.tohoku.ac.jp/lab/shibata-e/html/iizuka/index.html
→研究室WEBサイト
 http://www2.tagen.tohoku.ac.jp/lab/shibata-e/html/
JST/JICA SATREPS 『脱炭素社会に向けた炭酸塩化を利用したカーボン
リサイクルシステムの開発』
https://www.jst.go.jp/global/kadai/r0203_southafrica.html
 
以上
 
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