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研究者紹介

西谷 豪 准教授

2022.10.30
東北大学 大学院農学研究科・農学部 
応用生命科学専攻 環境生命科学講座 生物海洋学分野
西谷 豪 (にしたに ごう)  准教授 
 
 西谷先生は水圏の生態学・環境学がご専門であり、プランクトンや微細藻
類の研究をされています。近年は、日本の漁業に深刻な影響を及ぼす麻痺性
貝毒の被害を減らすべく、研究を進められています。
 
 麻痺性貝毒は、牡蠣、ホタテガイ等の二枚貝が有毒プランクトンを捕食し、
毒化してしまうことから起こります。貝毒が発生すると、発生が確認された
貝類は数カ月間の出荷規制となることから、漁業者が廃業に追い込まれる事
例もあり、漁業被害が大きな問題となっています。特に、東北地域(岩手・
宮城の三陸沿岸)は貝毒の発生件数が増加しており、今後深刻な影響が懸念
されるものの、貝毒が発生する場所や環境条件等など貝毒のメカニズムにつ
いては、多くの謎が残されています。
 
 西谷先生は、この有毒プランクトンに寄生し消滅させる新種の微生物(ア
メーボフリア(正式名称は未同定))を2019年、日本で初めて大阪湾から
発見しました。このアメーボフリアは、有毒プランクトンに対してのみ特異
的に寄生し、他のプランクトンには影響しないことが確認されています。大
阪湾では、有毒プランクトンに加えてアメーボフリアが確認されており、こ
のためであると確定されているわけではありませんが、2020年以降は二枚貝
が安定的に出荷されています。一方、三陸沿岸では、このアメーボフリアは
見つかっていません。

 西谷先生は、三陸の海でもアメーボフリアにより有毒プランクトンを低減
できるのではと考え、その生態の調査分析を進めておられます。また、実際
に海での実験を開始するべく、環境構築にも尽力されておられます。有益な
微生物を海へ散布するという取り組みには前例がないことから、関係省庁や
自治体との対話、漁業者をはじめとする関係者への丁寧な説明を行いながら
実施に向けて準備を進めておられます。

 将来的には、このような有害生物の天敵を利用した海洋における「天敵製
剤」の実現を目指しています。まずは三陸の海の資源や漁業者を守っていく
ため、今後もしっかりと着実にご研究を進められたいとのことでした。
 
▼▼もっと知りたい方はこちら▼▼
・research map
https://researchmap.jp/read0156316
・プレスリリース(2021/11/30)
貝毒原因プランクトンの天敵を発見! ~寄生生物を用いた有毒プランクトン
防除に期待~
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2021/11/press20211130-02-toxic.html
・研究室WEBサイト
https://www.agri.tohoku.ac.jp/aquaeco/index-j.html
・科研費サイト(科研費研究テーマ)
https://nrid.nii.ac.jp/ja/nrid/1000070450781/
 
以上
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