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研究者紹介

中安 祐太 助教

2023.04.28
東北大学 学際科学フロンティア研究所 
新領域創成研究部 学際基盤研究分野 人間・社会研究領域
助教 中安 祐太 (なかやす ゆうた)先生

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●INTRODUCTION●
SDGs目標が掲げられ、持続可能な社会の実現に向けて、様々な取組みが各所で進められています。今
回は「サステナビリティ(持続可能性)」をご自身の軸に据え、川崎町に住居を構えて里山のくらしを
実現し、東北大学でその課題解決の研究を行うというエコライフスタイルについて実践的に探究してい
る研究者、中安祐太先生にインタビューを行いました。
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 私は、社会の持続可能性を高めるためには、新しいくらしの姿が必要ではないかと考えてきました。
日本には豊かな里山資源があります。これに着目し、そこにある資源をテクノロジーの力を使って上手
に利用し、食料やエネルギーの地産地消、ひいては地域に持続可能なコミュニティを成立させることが
できないか。この構想を実現させるべく、2020年に仲間二人とともに合同会社を設立しました。2022
年には地域に根差したテクノロジーの研究開発を担う株式会社も設立しました。それらの立場と、大学
の立場それぞれでやるべきことを進め、学内外様々な方々と持続可能な小規模分散型社会の実現を推し
進めています。
 
 
写真:ご自身の取り組みを説明する中安先生。研究室にて。
 
 テクノロジーの話をすると、家庭のエネルギー需要の6割は熱です。地域においては、薪を燃やせば熱
は得られますし、温泉や太陽熱の活用も可能ですから、重要になるのはいかに電気需要を満たすかという
ことです。私は、地域で循環できるような蓄電デバイスがあるべきと考えています。
 
 グリーンな材料、グリーンなプロセスで作られたグリーンな電池デバイスです。基本的に材料は地域に
ある木材等を用いますから、地域によって材料が異なります。クラフトビールのように、使われる技術は
同じであっても、材料が違ってデバイスも異なっている、そんな「地域電池」のようなものがあっていい
と思います。優先されるのは、安全で持続可能な技術であり、過剰な性能や最先端技術を実装する必要は
必ずしもないと思っています。各々の中山間地域の生態系や社会に適合した『適正技術』を作っていきた
いと考えています。
 
写真:電池部材の低温合成装置。従来より小さなエネルギーで電池を製造できるようになるグリーンな
プロセスを提案。
 
 私の立脚点は、特定の材料やプロセスではなく、上述の通りサステナビリティですから、大学ではこれ
を実現するために様々な研究開発のアプローチを多くの共同研究者とともに行っています。例えば、リチ
ウムイオン電池の負極部材のグリーンな製造方法の研究開発、レアメタルフリーかつグリーンプロセスを
用いた有機電池の研究開発、微生物を活用した燃料電池の研究開発等です。
 
 他にも、地域に根差したフィールドワークのテーマとして、コミュニティサイエンスの取り組み(小型
のメタン発酵機を住民に使ってもらい、毎日生ごみの写真を撮影した後で投入し、微生物の変化を調べる
研究)や、温泉の排熱と地域の薪材を利用したカカオの温室栽培等にも取り組んでいます。
 
写真:小型メタン発酵機で発生させたメタンガスをガスコンロに繋いで利用。

 最近、拠点としている宮城県川崎町に私たちが杉を山から切り出して作った宿泊施設が完成しました。
ここで出た杉材のおがくずは電池部材の材料として研究材料としています。食料とエネルギーの地産地消
生活によるエコビレッジの構築を目指すような理想のくらしの一部が実現できる生活を、皆さんに体験し
て頂けるようになっています。食の地産地消のハブとしては勿論、東北大学の研究者と地域の人たちとの
交流のハブとしても機能していくでしょう。エネルギーの地産地消については、まだ課題がありますが、
水力発電等、目指している小規模分散型の持続可能な社会が実現できるようなテクノロジーの導入検討も
順次進めていきたいと思っています。
 
 社会をより良く、持続できる形にするには、研究者の力だけでは難しく、産業界・地域住民を含めて様
々な方々と協働していく必要があります。このような取り組みに関心があり、連携したいという企業とは
是非対話させて頂ければ幸いです。
 
★産学連携ポイント★
・サステイナビリティ
・エネルギーの地産地消
・小規模分散型社会
・グリーンケミストリー、グリーンデバイス
 
↓↓もっと知りたい方はこちら↓↓
・東北大学研究者紹介
・研究室WEB
・合同会社 百(Momo)
 
以上
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