バイオものづくりによるグリーンクロステック研究


更新:2024/07/05
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概要

ソルガムは本州でも約4〜5m程度まで成長する世界生産量第4位のイネ科植物である。また、ソルガムは乾性と湿性のものがあり、湿性からは糖蜜が搾れる。そこで福島国際研究教育機構(F-REI)プロジェクトの一環として、福島浜通りの営農休止地においてソルガムを栽培し、搾り汁と搾り粕をそれぞれカスケード活用することでカーボンニュートラルなグリーンケミカル(トランスアコニット酸、ブタノール)を製造する。

従来技術との比較

再生航空燃料(SAF: Sustainable Aviation Fuels)の製造では、微生物によってCO2とH2からエタノールを生合成し、化学反応によってエチレンを合成した後、重合・水素付加してSAFを製造している。本技術では、ソルガム搾り粕などリグノセルロースを原料として、微生物変換プロセス(Consolidated Bioprocessing)によってバイオブタノールの増産化が可能になる。

特徴・独自性
  • 植物は光合成によってCO2を吸収・固定し、さまざまな形の炭化水素を蓄積する。このリグノセルロースを完全利用することができれば、カーボンニュートラルを実現することができる。リグノセルロースの分解・糖化は当研究グループがゲノム解読した嫌気性セルロソーム生産菌Clostridium cellulovoransを活用し、この菌にブタノール発酵Clostridium属細菌を組み合わせることで1つのタンク内でリグノセルロースからブタノールを取得することができる。
実用化イメージ

本微生物変換プロセス(CBP)が事業化できれば、得られたグリーンなブタノールからSAF製造が可能になり、国内生産ができれば自動車・航空業界、物流産業やインバウンドを含む観光産業にも貢献できる。

キーワード

研究者

グリーンクロステック研究センター ソフト・機能マテリアル部門/大学院工学研究科 バイオ工学専攻 生物有機化学講座(生物資源工学分野)

田丸 浩 教授 
博士(学術)(三重大学)/修士(生物資源化学)(三重大学)

TAMARU Yutaka, Professor

生物工学、生化学・分子生物学を基礎とした細胞・個体レベルのサーキュラー・バイオエコノミーを展開している。