高活性白金系燃料電池電極触媒の創製


更新:2024/11/28
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概要

2030年における燃料電池の広範な普及には、カソードにおける白金触媒の酸素還元反応活性を1740 A/gまで向上させる必要がある。我々は、~1 nm程度まで微細化された白金クラスターに対して、「合金化」、「担体の複合化」、「メラミンによる表面被覆」を適用することで、2500 A/g以上の白金質量活性を創出することに成功した。これらの実用化により、燃料電池の広範な普及に貢献する。

従来技術との比較

固体高分子型燃料電池においては、カソードにおける酸素還元反応が律速となっており、そうしたカソードでは、カーボンブラック上に2−3 nmの粒径の白金微粒子が担持された触媒が広く利用されている。それら白金ナノ粒子触媒の白金質量活性は、高いものでも480 A/g程度であり、我々の白金クラスター触媒(2500 A/g)はその5倍以上の質量活性を有している。

特徴・独自性
  • 1nm程度の極微細な白金クラスターの精密かつ単分散での合成
  • 複数の高機能化手段の最適化に基づく高活性な白金系燃料電池電極触媒
  • 得られた白金質量活性(2500 A/g)は2−3 nmの白金微粒子の5倍以上
  • 得られた白金質量活性はNEDO等が指摘する2030年目標(1740 A/g)を既に実現
  • 2−3 nmの白金微粒子の微粒子よりも高い安定性
実用化イメージ

我々の技術及び触媒を企業と共有(連携)することで実用化・事業化することを想定している。実用化の開始時期としては、2030年頃が目安になると考えている。

キーワード

研究者

多元物質科学研究所
無機材料研究部門
精密無機材料化学研究分野

根岸 雄一 教授 
修士(理学)(慶應義塾大学)/博士(理学)(慶應義塾大学)

Yuichi Negishi, Professor