レクテナ発電による中・遠赤外光の電力変換
更新:2025/06/30
- 概要
無線送電技術であるレクテナを用いた赤外光の電力変換技術です。赤外光を電磁波としてアンテナで吸収して生じる交流電場をダイオードで整流することで電力へと変換します。アンテナの設計次第であらゆる波長の赤外光を電力変換できるため、中・遠赤外光が主体となる300℃以下の物体からの熱ふく射も電力変換可能です。
- 従来技術との比較
従来の熱発電技術とは全く異なる方法により電力変換を行います。熱ふく射を電力変換するため熱源と素子が接触する必要が無く、耐久性やデバイス設計自由度が高いです。電力変換可能な波長域は材料に依らずアンテナ設計次第で自由に制御することができます。
- 特徴・独自性
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赤外光の波動性に基づいた電力変換を行うため、材料物性に依らず感度波長を自由に制御できることが最大の特徴です。全ての有限温度物体は熱ふく射を放出するため、原理的にあらゆる温度域の熱源から電力を抽出することが可能となります。
レクテナ発電はマイクロ波を用いた無線送電技術として既に確立されていますが、赤外光は電磁波の周波数が非常に高いため(1013Hz~)、高速応答するダイオードの開発とエネルギー損失のないデバイス化が課題です。
高速応答ダイオードとしては、金属ナノ粒子を用いたトンネルダイオード技術を新たに提案し、高性能化を達成しています。エネルギー損失のないデバイスとしては、空洞共振器構造に基づくデバイスを新たに提案し、可視~中赤外光の発電を実現しています。 - 実用化イメージ
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あらゆる環境で発電が可能であり薄膜化も可能であるため、自立型センサ等の電源応用が期待できます。
- キーワード
研究者
大学院工学研究科
清水 信 准教授
博士(工学)(東北大学)/修士(工学)(東北大学)
Makoto Shimizu, Associate Professor