音波エンジン・音波クーラーの理解と応用
更新:2025/06/30
- 特徴・独自性
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音波を使ったエネルギー変換デバイスの研究に取り組んでいます。音波が温度境界層程度の狭い流路を伝搬するとき、気体要素は流路壁と熱的相互作用しながら圧力変動を経験します。その結果、ある種の熱力学サイクルを実行します。このサイクルによって、熱による音響パワーの自発的な生成や増幅、また低温生成などの多様な熱的現象を引き起こします。前者は音波を使ったエンジン(音波エンジン)と見ることができ、後者は音波を使ったクーラー(音波クーラー)と見ることができます。固体ピストンやバルブなどの機械的可動部品を本質的には必要としないため、いずれも大変簡単な構造を持ちます。
- 実用化イメージ
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音波エンジンは外燃機関の一種です。そのため多様な熱源(産業排熱や太陽光エネルギー)を利用可能です。しかもパイプと熱交換器部品といった少数の構成部品からなる簡単構造を持ちます。また、関与する熱力学的サイクルはスターリングサイクルですから、本質的に高い熱効率を持ちます。まだ世界的にみても実用化に成功したグループはありませんが、産業排熱を利用した発電装置やコージェネシステム、また太陽光熱で駆動する発電装置などを目指した応用研究が進行中です。簡単構造に由来する初期コストやメンテナンスコストの低さは実用化にとって有利なはずです。逆スターリングサイクルを動作原理とする音波クーラーはフロンや代替フロンを使用せずヘリウムなどの希ガスを冷媒とする冷却技術です。またそのために、幅広い冷却温度が選択できることも利点となります。
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