データ科学を用いた非定常航空流体解析
- 概要
我々は、データ科学,非線形機械学習,複雑ネットワーク理論,情報理論,また数値流体力学シミュレーションを用いた非定常流体現象の解析を行っています。流体力学におけるチャレンジングな問題を幅広く研究対象とし、データ指向型なアプローチで小型航空機、旅客機、乗用車、また産業流体機械にユビキタスに現れる非定常流体現象のリアルタイムな理解・制御をサポートする学術・技術基盤構築を目指しています。
- 従来技術との比較
従来の数値流体および実験解析に非線形機械学習に基づくスパースセンシングやデータ縮約を融合し、少ないデータから高精度な流体場再構築やリアルタイム予測および制御を可能にします。これにより、従来の線形手法では困難であった大規模・複雑非線形流動現象の解析や制御が可能になります。
- 特徴・独自性
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・機械学習による乱流超解像解析を用いたセンサからのリアルタイムな時空間流動場再構築が可能
・低次元多様体同定・圧縮により低コストな非定常流体現象の理解とモデリングが可能
・複雑ネットワーク理論・情報理論による渦相互作用・因果関係解析を通した説明可能な機械学習手法の提案
・数値・実験・理論データフュージョンを通したマルチフィデリティなデータ活用 - 実用化イメージ
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我々の研究は、飛行機や車、風力発電機などの周囲を流れる空気や水(流体)の「動き」を、少ない情報から正確に予測・制御する技術の開発を目的としています。
これらの研究は、
・航空機の燃費改善や安全性向上
・自動車の空力性能向上による省エネ
・災害時の風の流れ予測による防災支援
をはじめとする様々な場面で社会に貢献することが可能です。
以下のようなご興味をお持ちの企業の方との共同研究による新たなイノベーションの創発を目指します。
・AI(人工知能)や機械学習を使って流れを予測・制御
・情報理論やネットワーク科学で流れの構造を把握
・従来の流体科学との融合で、より正確で再現性の高いモデルを構築
非線形機械学習と物理学を融合した新しい流体解析技術を通じて、産業や環境、社会の幅広い分野に役立つ革新的な技術開発に取り組んでいます。 - キーワード
研究者
大学院工学研究科 航空宇宙工学専攻
深見 開 准教授
Ph.D. (UCLA) / 修士 (慶應義塾大学)
Kai Fukami, Associate Professor
私は流体力学を専門とし、機械学習・情報理論・複雑ネットワークなどのデータ科学と、従来の流体解析を融合させた新たなアプローチ「データ指向型流体力学」を推進しています。日本・米国での研究経験を通じた国際連携力も強みの1つです。「実用に足る流体物理の基づいたデータ科学手法」の開発を通じ、産業分野でもユビキタスに現れる複雑流動現象の課題に対して、実装可能な形での技術支援・共同研究が可能です。