超音波を用いたナノ~マイクロ材料の力学特性の計測


更新:2025/02/07
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概要

超音波計測は物性評価・イメージング・センシングなど様々な科学技術で活躍している重要な手法です。私は光を用いて周波数GHz~THzオーダの超音波を励起検出する計測する手法を用いて大きさがナノ~マイクロオーダーの微細構造・薄膜の力学特性・音響特性の評価と非破壊検査を行っています。

従来技術との比較

従来の超音波は波長が数マイクロメートル以上だったためナノスケールでの計測は不可能
でした。そこで私はフェムト秒パルスレーザを用いて波長が10 nmオーダーの超音波を操る計測技術によって、ナノ材料の力学特性の評価やナノ領域での非破壊検査を実現しました。

特徴・独自性
  • 光と音(レーザと超音波)を駆使した独自の計測技術を開発
  • ナノ材料・GHz 帯の振動現象を励起検出
  • 温度 10 〜 600 K、最大 5 T の高磁場下で音速や弾性定数を正確に計測
  • 磁気ダンピング定数や飽和磁化を時間領域における磁化振動から計測
  • 金属、圧電体、磁性体などナノ薄膜やダイヤモンド、タングステンカーバイドなど超硬材料が主な対象
  • スマホの無線通信用フィルタの特性解明と材料開発に貢献
  • 光よりも波長が短い超音波によって高感度なバイオセンサの開発やナノワイヤの破断過程のモニタリングへ応用
実用化イメージ

この計測手法はnmオーダの半導体中に発生する欠陥の検査や、5G通信デバイスで欠かせない音響弾性波フィルタの音速・減衰評価を可能にしました。

キーワード

研究者

大学院工学研究科
材料システム工学専攻
マイクロシステム学講座(材料システム計測学分野)
東北大学 高等研究機構 新領域創成部(兼務)

長久保 白 准教授 
博士(工学)(大阪大学)/修士(工学)(大阪大学)

Akira Nagakubo, Associate Professor

超音波計測は物性評価やセンシングなど様々な科学技術で活躍している重要な手法です。しかし従来は波長が長いためナノスケールでの計測は不可能でした。そこで私はフェムト秒パルスレーザを用いて可視光よりも波長が短い超音波を操る独自の極限超音波計測の開発に取り組んでいます。これによりnmオーダの半導体や5G通信デバイスの特性評価、超高周波・高感度センサの開発、磁気-格子振動の相互作用の解明などを行っています。