カルコゲナイド系材料のエレクトロニクス応用


更新:2025/07/15
前の画像
次の画像
概要

現代が情報化社会と呼ばれて久しいですが、昨今は、AI の普及により大量のデータ処理や演算の需要が益々高まっています。これらは消費電力の指数関数的な増加に直結しています。これまではSi が半導体デバイスの中心でしたが、近い将来、微細化だけによる高性能化、低消費電力化には物理的な限界が見え始めつつあります。そこで、カルコゲナイドと呼ばれる周期表の第16族元素を含んだ全く新しい材料によって、既存のSi 半導体を凌駕する電子デバイスの実現を目指して研究を行なっています。トランジスタやメモリといった現代社会に欠かせない電子デバイスに、新材料の切り口で挑戦をしています。また、東北大学青葉山新キャンパス内で稼働を開始した、次世代放射光施設「ナノテラス」を用いた実験にも取り組んでおり、世界最先端の研究環境で高機能の材料開発を進めています。

従来技術との比較

カルコゲナイド材料薄膜は、量産化とも相性の良いスパッタリング法にて作製しています。これにより、材料の基礎研究と実用化との障壁を大きく下げることができます。また、従来全く検討されてこなかった材料の組み合わせや、自然界には存在しない準安定な薄膜材料の創製など、これまでにない手法での材料技術の高度化を目指しています。さらに、放射光実験や第一原理計算も取り込みながら、材料の理解も同時に進めています。

特徴・独自性

新規カルコゲナイド材料による電子デバイスの高機能・低消費電力化
実用化を見据えた新規電子材料設計・開発
放射光や理論計算による電子状態の解明

実用化イメージ

半導体は、デバイスメーカーだけでなく、半導体製造装置メーカー、半導体素材・材料メーカーと非常に裾野の広い産業です。サプライチェーンの安定化が望まれる中、日本発の新材料技術として社会実装を目指します。

キーワード

研究者

グリーン未来創造機構

齊藤 雄太 教授 
博士(工学)(東北大学)/修士(工学)(東北大学)

Yuta Saito, Professor