ナノオーダーで抗がん活性を有する低分子化合物


更新:2024/12/23
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概要

 Histone deacetylase(HDAC)阻害剤及びphosphatidylinositol 3-kinase(PI3K)阻害剤は、有望ながん分子標的薬剤であるが、単剤使用での効果は限定的である。この2剤の併用は殺細胞効果の相乗作用をもたらす報告があることから、発明者らはHDAC/PI3K2重阻害剤の探索を行った。数百種類のPI3K阻害活性を有する化合物をスクリーニングしたところ、既にHDAC阻害剤として知られるロミデプシン(FK228)およびその類縁体にPI3K阻害活性があることを見出した。
 類縁体FK-A11は、前立腺がん細胞(PC-3)やHDAC阻害剤に抵抗性を有する大腸がん細胞(RKO、CO115)に対して、SAHA(HDAC阻害剤)とLY294002(PI3K阻害剤)の併用よりも高い殺細胞効果を示した。なお、この濃度においては、非がん細胞であるKMST6細胞は顕著な細胞死を生じなかった。
 また、脂質代謝に関わるLIPIN1遺伝子の抑制により、FK-A11の殺細胞効果、抗腫瘍効果が増強することがわかった。

キーワード

研究者

病院
内科
腫瘍内科

西條 憲 講師 
博士(医学)(東北大学)

Ken Saijo, Lecturer