父親の精子検体を検査することで、子供の自閉症スペクトラム発症率を予測できる。
更新:2024/11/25
- 概要
自閉症スペクトラムマーカー:
精子のヒストン修飾を測定することにより、次世代の神経発達症リスクを予測することが可能となりうる。
https://www.t-technoarch.co.jp/data/anken/T14-105.pdf- 従来技術との比較
子どもの発達障害発症に関して、もっとも高いリスクは両親の加齢と早産であることが知られており、両親のうち父親の加齢の方が母親よりもリスクが高いことも繰り返し疫学的に報告されている。従来、精子の検査は、顕微鏡下で、精子数、形態、運動性をチェックするのみであり、分子レベルでの検査は行われていない。本発明はエピジェネティックな分子マーカーに着目する画期的な方法である。
- 特徴・独自性
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- 急激な少子化の一方、発達障害は増加の一途を辿っている
- 父加齢の継世代的影響として、可塑性のあるエピジェネティック分子に着目
- 精子検査は非侵襲的に行うことができる
- 精子ドナー等のクォリティチェックとして適している
- 実用化イメージ
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本発明の精子のヒストン修飾や、関連するエピジェネティック因子(DNAメチル化、マイクロRNA)を組み合わせて、精子のパネル検査を行うことにより、精度の高い精子のクォリティ検査を行うことが可能となる。
- キーワード
研究者
大学院医学系研究科
創生応用医学研究センター
発生発達神経科学分野
大隅 典子 その他
歯学博士(東京医科歯科大学)
Noriko Osumi,
“卵子の老化”による妊孕性の低下やダウン症等のリスクは一般的に広く知られているが、年々、精子数は減少し続けており、男性の高齢化により相手の妊娠率が低下する。さらに、父親の高齢化が子どもの低体重出生や神経発達障害等の発症に繋がることが疫学的に調べられている。したがって、現在、臨床で用いられている精子の数、形態、運動性以外に、より精緻な精子のクォリティを検査し、向上させる介入・治療が求められている。