迷光強度を1/1000以下にできる分光器


更新:2024/12/19
前の画像
次の画像
概要

迷光強度を1/1000以下にできる分光器
https://www.t-technoarch.co.jp/data/anken_h/T21-068.html

特徴・独自性
  •  分光器を用いて分光する場合、入力光の1次反射光のほか、0次反射光、2次回折光、その他の分光器内に生じる散乱光などの影響により、広い波長範囲に渡る種々の迷光が発生する。特に、レーザのような強い光を光源として用いて、試料からの弱い信号光を検出するような測定では、迷光の影響により信号光の検出が難しくなる。
  •  分光器の迷光を低減させるため、誘電体膜を用いたカットフィルタや、モノクロメータを直列に接続したダブルモノクロメータ型分光器などが開発されている。しかし、これらの方法を用いた場合、広い波長範囲に渡る迷光を一度に除去できないことが課題として挙げられていた。
  •  本発明は、広い波長範囲(例えば近紫外~近赤外)の迷光を除去できる機構を備えた分光器に関するものである。右図に、本発明を用いた超伝導体からの高調波の観測結果を示す。超伝導体の高調波のうち、3次高調波(2.1 eV = 590 nm付近)はどのような分光器を用いてもはっきりと観測できるが、5次高調波(3.4 eV = 360 nm付近)は本発明を用いた時のみS/N良く観測できる。特に、本発明のノイズは他の分光器のノイズと比較して、3桁以上低減していることが分かる。
実用化イメージ

・ラマン散乱分光
・分光蛍光測定
・高調波観測
・その他、レーザ光を試料に照射する方法を用いた種々の分光測定

キーワード

研究者

大学院理学研究科
物理学専攻
量子物性物理学講座(超高速分光分野)

岩井 伸一郎 教授 
博士(工学)(名古屋大学)

Shinichiro Iwai, Professor